REVIEW

new!!コミュニティアート・ふなばし理事長:下山浩一さんの書かれたBlogより抜粋させていただきました。2007年11月24日 “フェード”
「BankART Cafe Live Series2007」の企画に井手実さんが参加されているので、BankART NYKに伺う。
今回は、声のアーティスト・山崎阿弥さんとのコラボレーションです。※以下、敬称略。

BankART NYK2階・風除室をのガラス箱状態の空間と、運河の向こう側までを借景してのパフォーマンス。

山崎阿弥のボイスパフォーマンスが素晴らしかった。
ふくよかな声が的確にコントロールされ、即興のボイスパフォーマンスにありがちのだらし無さがない。
山崎阿弥の声に酔っていると、ガラスの向こう側に井手実が登場し、緊張感が高まる。
こちらに背を向けて立ち尽くす井手。パフォーマーが動かないことにより、観客の視線の方が動いてしまい、勢い壁のコンクリートやガラスの質感が迫ってくる。

パフォーマンスはシンプルな動きながら、唇や眼球、髪の毛の揺れまでもがコントロールされているようだ。

運河の向こう側の風景と、目前の緻密なパフォーマンスを同時に見せられていると、「サイズ」の概念が消失してくる感覚を覚えた。

スタイリッシュな空間で行われているために解りづらいかもしれませんが、極大と極小を飛び交うこのパフォーマンスは、極めて呪術的と言えるでしょう。

問題は、この極上のアートに、社会がついて来れてない(≒カテゴライズができない)ということで、風景に入り込み、ヴィジョンを操るこのアーティストの特殊能力に私たちがもっともっと学ぶ姿勢が必要だろう。

井手さん、山崎さん、お疲れ様でした。


コミュニティアート・ふなばし理事長:下山浩一さんの書かれたBlogより抜粋させていただきました。2007年6月1日 “pre:フェード”

半蔵門にある相良ビルというビルが取り壊されることになり、そのビルのラストを、アーティストが送るという趣旨のイベント。

今、最も注目しているアーティストの一人、井手実さんも出演されるということで、こりゃ見逃せません。

井手さんのパフォーマンスの会場は、4階E会場ということで、上がると、「ステージ」は窓の外。隣のビルの屋上でした。
水が貯まったビルの屋上。両隣はビル。前方は神社の鳥居と緑が見えます。

井手実さんのパフォーマンスはその水溜まりのかなで、10分くらいのショウでした。
今回は装置や映像は無し。

水溜まりの水面が鏡になり、重力の方向がわからなくなる不思議なパフォーマンス。

井手さんの作品は、いつも、周囲の物や風景までも全てを取り込んだビジュアル体験の完成度がとても高いのが特徴です。

さらに言うと、観る者の脳内に生じる像そのものを操作されているような気分になります。

よく自分の作品について、「観たいようにみてくれれば」などと言うアーティストがいますが、井手さんには当てはまりません。

観客は、催眠下で暗示をかけられるかのように、覚醒状態で脳内イメージを操作されるのです。

↑なんかアヤシゲなことを書いてますね(笑)
パフォーマンスとしては、押し付けがましいところが皆無で、ほのぼのとした雰囲気なだけに、特異な力がさらに印象に残るのです。




コミュニティーアート・ふなばし理事長:下山 浩一さんの書かれたBlogより抜粋させていただきました。2007年1月19日 “Me Light -改訂版-”

「ダンスがみたい!」新人シリーズ、井手実さんは見逃せません。

2面のブラインドとCCDカメラの映像、それに「蛍光灯」を駆使したマルチメディア・パフォーマンス。
ドラムのライブ演奏もとてもタイトでよかった。

井手さんの作品が良いのは、パフォーマンスが「正確であること」です。
バックグラウンドやこれまでの活動を引きずって、つい出てしまう「手癖」のようなものが見えてしまうと、とても寂しい気持ちになる。
ご馳走する、と言われて行ったら冷凍食品がでてきたような。

井手さんのパフォーマンスは一つひとつのパーツが考えぬかれた「必然の彫刻」のように見える。

これは、髪形や今回のニートっぽい衣装にまでおよそ観客の目に触れるものすべてに徹底している。

唯一不満をあげるなら、劇場が小さすぎるということです。
もっと大きな劇場に映える作品だと思うので、さらに磨かれた「Me Light」と再会したいと思いました。

<追記>

ヌード表現について

「Me Light」のパフォーマンスの中盤、パフォーマー(※ブラインド越し)が全裸になる部分がありました。パフォーマンスにおけるヌードは、扱いが難しいと思います。舞踏系のアーティストでは、

男性パフォーマーの場合→ナルシズム
女性パフォーマーの場合→ヌードの持つ意味を無視

というパターンが多いと思います。

井手さんの場合は、衣服の脱いで自分の体を撫で回すなかで、口の中にも手を入れているという点が特徴で、観客はこれを「ヌード」の系譜だと自動的に分類しまうのは、勇み足な気がします。
それよりは、この作品全体のプライベート空間を思わせる世界のなかでのひとつの行為として見ると、この自分の体を体表-口腔内までを撫で回す行為は、準マスターベーションとも呼ぶべき、性的な身体感覚の表現ではないかと思いました。この辺はアーティスト本人に聞いてみたいところです。

また、衣服を脱いだり、着たりする途中で、ちょっとストップするあたりは、頭に被ったセーターによって、シルエットがエレファントマンのように変貌したのみならず、ぶらぶらと揺れるセーターの袖の先にまでパフォーマーの知覚が拡張しているように見えました。

このヌードのパートの白眉は、脱いだ衣服をまたもそもそと着だしてしまうあたりだと思います。スムーズな進行が「膝かっくん」のように滞り、観客は居心地の悪い時間を味わわされます。ほんの1分足らずがとても長く感じる(笑

このあたりも、アーティストが見せたいものはスムーズな舞台進行というか、従来のステージショウの系譜とは違ったものなのだという主張を見た思いです。

というわけで、30分ほどの作品にここまでくどくどとマニアックな思い入れをしてしまう井手ファンの見方なんで、見ていない人には?だと思うんですが、とても刺激的で質の高いパフォーマンス、井手実さんの今年には注目すべし、ですー。




SAL VANILLA主宰 及川ギガさんから頂いた寄稿文章です。2006年3月 “Me Light 公開リハーサル”

このけったいな男は、もともとインスタレーションアートを追求するインテリである。
だが、その身体の存在は、残念ながらインテリからほど遠い、’ちょんぺ’というニックネームがぴったり似合うナイスなヌけキャラ。
そのインテリのつくった洗練された空間に、ヌけキャラが存在すると、HANSHAZAIの奏でるハウリングぎりぎりのおいしいギターノイズにのって、見事!絶妙&微妙なバランスのアンビバレンツなメディアライブアート作品が一気に成立する。
この狂気と笑いが入り交じったPOPな感覚は、誰のどの日常にもありえる時間であるから見るものを惹き込む。しかし、それだけでなく、井手実という唯一無比のナイスキャラが自身のインスタレーションフィールドの勝手を知り尽くしているからこそ、さらに、作品は息もつかせぬリアリティ満々にヒートアップしていくのであった。
人は、それを覗き見の快楽をもってし、決して飽きずに観察する。
私が勝手に設定している”ライフアート基準値”を優々満たしている。どっかで見たことのあるうざったいコレオグラフや、ショーケースの基準から抜け出られないカラダにばかり執着したダンス演出家が多い中、このすべてを自分でコントロールしているローテクハイセンス&ナイスキャラのこの男のリアル作品空間は、おすすめである。みなさま見るべし!!
及川ギガ(sal vanilla 主宰)



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by blanks_minoru-ide | 2007-11-30 00:00 | 報告
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